観光地の商売

観光地の商売が苦手である。お土産物屋というヤツだ。ろくでもない、ホコリのかぶった商品を、何の工夫も無く並べているだけの、店というには程遠い、店。
温泉街で、温泉という自然の集客資源にもたれかかっている人たちが、一番商売の本質と遠いところにいるのではないか。
今回は札幌のおみやげ物市場に足を運んだのだけれど、どの店も同じ品揃え。価格。同じカニを同じように売っているだけ。何の違いも見出せない。かと思えば、他のお店を「値段下げる店は、ろくな品質の店じゃないから」とけなす人もいる。適正な値段も何も無い。いまどき値引きは当然の値段を表示していて、正札販売でもない。
北海道という、豊かな食の土壌があるのにも関わらず、なぜいまだにこんな商売をしているのだろう?
観光客は、一見さんで、かつリピーターになる可能性も非常に低い。だから、品質が悪い商品を高く売ったところで、店側には何も問題は無いわけだ。温泉という日本人にとってのキラーコンテンツ、天然の集客装置に甘えて、正しい商いができないお土産屋が大量発生してしまったように思える。
今頃、そういう温泉の集客力に頼りきった人たちが、何らかの原因でお客が離れたときに、対応ができなくなる理由というのは、分からなくも無い。常にお客を見て、自分と、自分の仕事のあり方を変化させていかなければならないはずなのに、下手に温泉やら観光資源があったために、それに気付かず月日が過ぎて、気が付けば手の施しようが無い状況になってしまった。
そんな状態の中でも、生き残りを図れる店というのは、伝統を重んじながらも、常にイノベーションを継続することができる組織でなければならないはずで。
熱海市の財政状況が危機的であるという話を聞くのだけれど、温泉街のお店が自覚を持って商売に臨まなければ、状況は改善できないように思える。「誰かがなんとかしてくれる」そう思っている限りは、気付いたときには、ゆでダコゆで蟹…ならぬ「ゆで蛙」になってしまっているのだろう。