カノピ、クレーマーになる?の巻

L社という、某中国系PCメーカーのウェブショップで、新年早々大枚を叩いてPCを購入した。L社にPC部門を売ったI社製のPCが好きだったから、そこのネットショップを選んだ。スペックが命だと思って、メモリもがしがし積んだし、CPUもクアッドコアなるものにしてみた。結構な投資である。

注文したのが1月4日。商品が届くのは3週間後だという。メモリとモニタも同時に購入した。まずびっくりしたことに、PC本体と、モニタとメモリ、それらがすべて別々の宅急便で届いた。このあたりで、ちょっと怪しいと感じるべきだったのか。


サラリーマンゆえ、パソコンを買っても触れるのは週末ぐらい。待ちに待った週末、届いたPCの梱包を空け、接続し、電源を入れた。……ところが、ハードディスクのランプがついたままで点滅などは全くせず、さらに画面に何も表示されない。
接続を確認しても、何も問題が無い。困った…。コンセントをさしなおしてみたり、ケーブルの接続を変えてみたりしたのだけれど、結局モニタには何も映らない。仕方がないから、メールでサポートセンターに問い合わせをしてみた。

翌日送られてきたメールには、「○○という操作をしていただいても、治らない場合は、ハードの故障の可能性があります。ハードの故障は修理センターへお電話でお問い合わせください」とある。
そこで、電話で修理を依頼しようと、仕事の合間に会社からメーカーに電話をしてみた。すると「シリアル番号が無ければダメ。なるべくPCの前から電話してきて」という。保障対応は平日のみで、これでは普通のサラリーマンは修理をすることができない。
仕方なく、平日に休みをもらえるタイミングを見計らって、サポートセンターに電話してみた。
「その症状でしたら、出張修理の者を伺わせますね」と修理センターのお姉さん。修理は平日にのみ実施とのこと。PCの初期不良のために、これ以上会社を休むわけにもいかない。それに、人を家に入れたくないんだけど…。

さりとてどうにかなるもんでもないので、仕方なく私は不在のまま、家人に立ち会ってもらい、修理の方に来てもらうことにしようとした。ところが、その後、修理センターからかかってきた電話は、驚愕の事実を突きつけたのだ。

「お買いになったモニタ、アナログ専用ですね。買ったPCはデジタルのみの対応ですので、映らなかったんでしょう」
………!?
だって、「このパソコンと合わせて買うのがおすすめ」って書いて合ったからこのモニタ購入したんじゃん!?一瞬、理不尽さにめまい。「サイトの案内通りに買ったのに、それはおかしいんでないの?」と軽くジャブを打つ。
修理センターのお姉さん、一瞬ひるんだが、ではL社のショッピングサイトに案内します。と新たな電話番号を教えられる。

L社ショッピングサイトの担当に再度はじめから説明する。大変申し訳ないとお姉さん。社内で承諾を得て、対策を考えるという。
早速その日の夕方、ネットショップから電話がかかってきた。「デジタル変換端子を送るから、それをつかってみてほしい」そうだ。こりゃアナログモニターの在庫減らしたいんだろうなぁ…。いやな商品つかまされちゃったなぁ、と複雑な気持ちになる。それに、デジタルで映ったところで、電源入れてもビープ音すら鳴らないんだから、モニタ以前の問題なんじゃないのか?
それでも、無料でデジタル変換機を送ってくれるというので、仕方なくその到着を待つことにした。ここでまたロスタイムが1週間ほど。

待ちに待ったデジタル変換機が到着。やっと画面に映像が映ったのは、既に購入から1ヶ月以上たったあと。
しかも、映った画面には「1962:No Operetaing system found」とまぁ、怖いことが書かれているだけ。
もーどうなってんのよー、と再度メールでサポートセンターに連絡。
しかし、自分でどうにかしてみなさいよ、という回答のみ。しかも言われたとおりにやってみたのにも関わらず、何の症状かわからない。私は切れた。

修理センターに電話。「これこれこういうわけで、初期不良なのに、こちらに対応させるとはいかがなものか?サポートも平日のみの対応で、たらいまわしになるというのは、今後長期のお付き合いをしていくのも難しいであろう。返品したい」「では、お客様ご自身でL社のネットショップに電話して…」「またゼロからネットショップの人に説明しなきゃならないんですか?」「わかりました、こちらからネットショップに連絡します。また改めて電話します」

そして、その日の夕方、私の携帯に見知らぬ「098」で始まる市外局番の電話がかかってきた。
「L社お客様相談センターの○○です。返品ということですが、考え直してもらって、うちの商品使ってもらえませんでしょうか?」
「いや…もういいです…サポート体制も心配ですし…」「そうですか、残念です。では返金の手続きをしますね」「ところで、このお電話はどこからかけているんでしょうか?」「沖縄です」「!!」
どうやら、人件費削減のためか、L社は沖縄にお客様相談センターを置いているようだった。確かに、話している相手は、沖縄弁だ。ワールドワイドというかなんというか…。

L社は世界規模の大企業だから、ソフトの不具合はこちらの窓口、ハードの不具合はこちらの窓口と、責任がいろいろなところに分散しているらしい。だがお客の身からしてみれば、ソフトの不具合だろうが、ハードの不具合だろうが、L社から買ったものなのだから、窓口は一箇所であって欲しいわけだ。

私は、なんとなく、メーカーの社内の構造もわかるし、自分で電話応対の仕事もしていたので、「あんたじゃ話にならないよ、上の人と話させて」だとかの、初歩的な窓口の理不尽を打ち砕く術は知っている。だが、社会人経験が浅い人だとかに、この鉄壁のお役所カスタマーサポートが襲い掛かったら、ひとたまりも無いだろう。
大企業というものの、なんと人間味の無い応対しかできないことだろう。そういうシステムを作ってしまう、大企業というものの理不尽さを、今回はお客さんの立場で隅々まで味わった感じ。
本気で、あと一歩間違ったら、クレーマーになってしまいそうな流れだった。

ちなみに、返金は4月以降になるという。これまたお役所ちっくである。そもそも2ヶ月パソコン使えなかったら、その間にスペックのいい端末腐るほど出るだろうに…。

で、結局ドスパラでノーブランドのパソコン買うことにした。下手にブランドなんて気にしないわ、こうなったら。