続モンゴル

夜7時半過ぎ、仕事終わりがけにTさんから電話。Tさんは件のモンゴル人を東京に連れてきた張本人である。「自分、仕事終わった?これからモンゴル人が渋谷で洋服を買いたいといっている。うちの会社で立ち会える人がいないので、付き合ってあげてよ」え?私一人ですか???既に彼らは虎ノ門を出て渋谷に向かっているという。行かねば。

モンゴルから来たナラちゃんとダバちゃん(本名はものすごく長いので、覚えられない)と、モンゴル人留学生の3人と、渋谷で合流。ユニクロZARA、GAPを見る。ナラちゃんとダバちゃんはモンゴルの商社に勤めている26歳前後の男の子たち。新規事業の立ち上げ準備で日本に来ている。いわば、三井、三菱みたいなところの社員で、いいところのおぼっちゃま。ダバちゃんにいたっては、インドでソフトウェア開発の仕事に従事していた経験もあり、数ヶ国語がペラペラだ。たぶんあっちではエリートなのだろう。

だけどね、モンゴルから来たエリートだから、きっと素朴でおとなしくて利発な人たちなんだろう、って思っていた私は、間違っていたんです。


洋服を見てから、ビックカメラへ。お店に入ったのが8時半近く。ナラちゃんが、どうしても買いたいという、デジタル一眼レフカメラを物色する。閉店は9時なんだけれども、ナラちゃんは9時半ぐらいまで粘って、入念に商品を確認していた。安くない買物だものね。しかし、昼間は勉強会、夜は飲み会と、ほとんど寝ていないダバちゃんは疲労困憊のご様子。
ナラちゃんは、そんなダバちゃんの様子を全く意に介せず、延々と店員を質問攻めにし続ける。なんとマイペースな。根性が座っている。日本なら、絶対KYとか言われそうなのに。

やっとカメラの購入を決めたナラちゃんだが、いざ購入しようとする段になって、ナラちゃんが「この商品は、何度まで使えますか?」と質問したところ、ビックカメラの店員さんが「マイナス10度までです」と答えた。凍りつくわたくしたち。
だって、モンゴル、冬は氷点下20度になることがザラなんです。それじゃ使えないじゃん。
あわてて店員さん「ホッカイロを貼り付ければ、使えますよ」モンゴルにホッカイロはあるのか。

それでもなんとかウン十万円のカメラを購入したナラちゃん。満足そう。しかし、店員にお礼の一言も言わず立ち去る。あわててこちらでフォロー。文化の違いなのかな。

その後、お食事に。3人とも結婚していて、子供が複数人いて、さらに1名は離婚まで経験していることを知り、おののく。「いや、モンゴルでは普通だから」。普通なの〜!?

そして、普段は寡黙な感じのナラちゃんは、お酒の席では夜の帝王ばりにはっちゃける。

「女の子を紹介してよ。着物の女の子がいい!」「ぼく、渋谷好きだよ。だって女の子がたくさんいるから!」……ただのアホである。
モンゴルの平均寿命は70年も無いのだけれども、野菜食べれば長生きできるんじゃん?と言ったら「野菜は嫌いだ!」って。

なんというか、竹を割ったような性格の方ばかりで、しかし適度にジェントルなので、日本人と親和性が高い理由がわかった気がした。

当然会話は英語。とっさの語彙力の少なさに辟易した。ここ1ヶ月iKnowで英語のレッスンしている私だが、英語が母国語でない人同士が会話する場合は、さほど難しい語彙というのは必要とされなくて、むしろ、やさしい単語をどれだけ蓄積できているかと、そのやさしい単語を積組み合わせて、物事を説明できる能力の方が重要なのだと思った。これは英語ネイティブの人と話す場合とは違うのだと思う。そして、ネイティブじゃない人と話すほうが、わかりやすいし、面白い。
これまで全く知らない国の人と、英語で話して同じ話題で腹を抱えて笑えるというのは、すごい。英語の道具としての価値に、開眼した。話して笑うのが、一番の勉強の動機になるものなんだな。

今年の目標の1つは、インドに行くことだったのだけれども、その前に、モンゴルに行くことになったりして。わはは。


写真右からナラちゃん、ダバちゃん、私。