アイ・オー その3


「入力」と「出力」について、欠かしてはならない視点が、「どのような過程を経て、今の出力があるのかを、きちんと把握すること」だ。
人は、出来上がりだけを見て物事を判断しやすい性質を持っている。書かれた文章を読んで、その表面だけを真似ようとする。その裏には、実はたくさんの経験や失敗があったとしても、出来上がりしか評価しないし、表面だけ真似ようとする。
米国におけるスーパーマーケットを、日本人が表層だけパクろうとして、その本質を見逃してしまったということは、(一部では)有名なお話。

たとえば、良いお店を見て、それをまねしたいと思ったときに、その店の採用方法や、教育についてまで、思いを及ばす人がどれぐらいいるだろうか。
すばらしい棚を見て、その仕入れ方法や、物流まで見抜ける人がどれだけいるか。
良い雑誌を見て、ただ筆者やデザイナーさんを引っ張るということだけを考えずに、ならばそのような誌面を作れる編集者の育て方まで考える人、いますか?
実は、よいものを支えるのは、そこらへんの、目には見えないいろいろなのだな。

表層だけを見ちゃいけない。本質はどこかを考える。その出力を支える「発酵」だとか「入力」まで思いをめぐらせる。

そこまでやって、本当に「出力」を評価する目を養うことができる。