「だって俺たちサラリーマン」

このところ、友達の出版関係者と飲む機会が多い。そこで、いろいろな悩みを聞くことも増えた。編集者とてサラリーマンだ。組織の中では悩みだって尽きない。
大体が上司が使えないとかアレだとかそういう話。どうも出版業界では「売れる本さえ出せれば、人間性如何は問いません」という常識がまかり通っているようだ。人間的にはアレな人でも編集長になれてしまうように、マネジメント能力はあまり組織の長の要件として認識されていない出版社が多い。それで私の友人たちの多くが、わけのわからない上司の下で、悩みながら働いているのだ。(ちなみに私自身の上司運は悪くない。というか、他の人の話を聞いていると、とてもとても恵まれた環境で働かせていただいているんだと思う…と強調しておく・笑)
で、無茶苦茶な上司は「あんたたち、自分のやりたい仕事ができてるんだから、つべこべ言わずに働きなさい」という見えない圧力を発していたりする。しかし、一部の大手企業を除いて、この仕事、割りに合わない部分も多い。長時間労働、低賃金はあたりまえ。他業種への転職も難しい。常に自分をアップデートしていかなければならない。自分の携わる分野が沈没すれば、自分も沈没してしまう可能性が高い。
編集至上主義な人や、ちょっと頭がアレな上司についてしまった人は、そこから逃げるか、どこか心を殺して働き続けるか、いずれかの選択肢しか無い。転職率の高さは、決して大手企業の話ではなくて(というか、大手は給料がいいから、皆辞めない)、出版社の大半を占めるという膨大な数の中小企業・出版社の話なのである。
一方で最近、編集職に就こうという人間自体、社会不適応の気があるのではないかという気がしてきた(雑誌編集と書籍編集で、若干気質の違いはあるけれども)。天才的な編集者と呼ばれるような人は、性格的にどこか問題がある人も多いのではないか。そうでなきゃ、あんな集中力で、あんな大量の仕事をこなすことは、通常できないはずなのである。どこか壊れた部分と、強烈な自我。
それが天才編集者の要件ならば、それを支える組織が必要なわけで。一部の天才と、職人たちと、普通の人と……それぞれが干渉せず、皆納得できる仕事の環境を提供できる、そういう組織を作る経営こそが、出版社には必要なのかも、なんて、同年代編集者の悩みを聞きながら思ったりしている。

え、もう今の会社で編集の仕事は割りに合わなさ過ぎるから辞めたい、ですって…?
ではまず↓これをやってみるといいと思うけど……。
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