旅するリビングデザイン−気持ちよく暮らすための知恵

新宿のOZONEが主催している津田晴美さんのセミナーに参加してきた。
http://www.ozone.co.jp/event_seminar/seminar/seminar_b/detail/138.html
津田さんは私が敬愛しているインテリアプランナーさん(という肩書きではないのだが……)。20代前半まで「生活なんてどうでもいいよ。音楽と本とお酒だけあって楽しく生きられれば」って考えだった私が、彼女の著書「小さな生活」によって、180度方向転換。居心地いい家と、おいしい食べ物がなけりゃ、あたまでっかちで悲しい生き方になっちゃうよ、って考え方にたどり着いたきっかけの人でもある。
旅から何を学べるか。暮らしにどうそれを生かすか。津田さんの経験から導き出した、ここちよい暮らしについて、いろいろなところに脱線しながら2時間ほどお話を伺うことができた。全5回の講座なのだが、今回は2回だけの参加とした。
最近津田さんはカシミアの展覧会に向けて、インドをたびたび訪れているそうだ。自然と講座もインドの話中心に。そこで購入された、本物のパシュミナを触らせていただく。かわいたパシュミナはものすごく繊細な感触なんだけれど、インドの人は、これを水でがちゃがちゃと洗って、足でぐいぐい踏みつけて汚れを落として、パンっと力いっぱい伸ばして、干して乾かすんだそうな。それだけ天然の素材は強い。使っていても、繊維が細くならない。繊維と繊維の間に空気が入っているから、冬はあたたかく、夏は涼しい。むりくり同じものを大量に作ろうとすると、そういうわけにもいかないわけ。厳しい環境で育った、天然の動物の毛だから、良質の製品に生まれ変わる。そういえば、父が南米のお土産に買ってきてくれた真っ赤なポンチョは、冬場他のどんな毛布よりもあったかかったなぁ。
津田さんが20年着続けているというカーディガンにも触らせていただいた。グレーのニットのカーディガンなのだけれども、20年着続けているとは思えないくらいふんわりとした肌触り。ただマルセイユ石鹸で洗っているだけなのだとか。丁寧に物と向き合うと、こうも物は長持ちするんだなぁ。天然の素材の奥深さに触れさせていただいた気分。
そういう「本物」は価格もそこそこはするのだろう。だけど、そろそろそういうものにチャレンジしてみたい気持ちにもなった。もちろん、身の丈にあったものだけどね。

※追記※
津田さんが言っていた言葉で、忘れられないもの。素敵な布を、海外では(インドでは、なのか、英語では、なのか、文脈からは分からなかったのだけど…)「Delicious!」ってほめるんだそうだ。「この布は生きている。だから、おいしい」ってなんだかいい言葉。「おいしい!っていうのよ!」と目を輝かせて言う、津田さんの表情がこの日の一番の収穫だったかもしれません。