小さなたび・古川


毎年9月末はお墓参りに父の実家があった宮城県北部、金成(かんなり)という町に行く。田舎に行くときは、「土日きっぷ」という、土日新幹線乗り放題の切符を買って行くのだけれど、目的地の「くりこま高原駅」の一駅手前「古川駅」までがフリー切符の範囲のため、毎回一駅分だけ新幹線の区間をのりこして購入していた。
今年は免許を取って初めてのお墓参りだったので、古川駅からレンタカーで金成まで行くことにした。で、せっかく古川から車に乗るのだから、ぜひとも地元のおいしいものを食べたい!と思い、レンタカー会社の方に教えていただいたのが、「みちのく古川 食の蔵 醸室(かむろ) 」(http://kamuro.moo.jp/
江戸時代に立てられた酒蔵を改修して作られた商業施設。大小の10個の蔵には、レストランや、酒屋、民芸品の雑貨屋さんなどが入っている。
ここで食べたのが「はっと」という郷土料理。宮城県登米郡に伝わる郷土料理で、だしのきいたつゆに、すいとんのようなものが入っている。少しだけ豚肉が入っていて、あとはごぼうの味が特徴的だった。あんこで味をつけた、あまい「はっと」もあるらしい。ちなみに、店内には「はっとの唄」がエンドレスで流れていた。サビは「登米登米登米登米のはっと食べよう!」 と脱力系。「はっと」自体はとても素朴な味。懐かしい味がした。悪くない。

また、醸室にある橋平酒造店には日本酒「玉乃緒」などが販売されている。運転もあったので、カップ酒を買ってあとで楽しむことに。観光と日本酒って、本当に相性がいいなと思う。地域の水、農業、人々の暮らし、全てがリンクしていて日本酒に現れるんだもの。地方にいったら、その土地の日本酒を飲むという習慣をつけたいな、と最近思うようになった。
町の一角に蔵が立ち並び、近くには小川が流れている、おだやかな景色。とても優れた観光施設だと思うのだけれど、古川駅にはほとんど案内がなかったのが残念。いいものを作っても、伝えなければ意味がないから。
(「地元の人向け」の施設のようなのだけれど、そういう施設ほど他所からきた人間には面白みを感じる場所になりうるのだ)