編集志望の人は是非!

ってアマゾンで紹介しようと思ったら、掲載されておらず…。

「きょう、反比例 編集者・竹井正和」
写真集などの出版物を中心に刊行している出版社フォイルの社長で、
リトルモアの創業者、竹井正和さんの自伝です。

以下引用。

子どもの頃は本棚なんてなかった

大阪・西成出身、今年45歳。特技は暗算と英会話。趣味は競馬・麻雀・たまにパチンコ。
そのヤクザ風の出で立ちからは似つかないアート業界で、ギャンブルで培った持ち前のカンを生かしてか、いくつもの旋風を巻き起こしてきました。
02年にはTV番組「情熱大陸」にも取り上げられた、出版界では異色な存在である竹井正和が、この度初めて自身の本を出版します。

幼い頃のこと、師匠のこと、作家との出会い、出版業界のこと。世の中との葛藤、社会を生き抜く術……。
本書は自叙伝のようでありながら、それだけにとどまらず、出版業界の話を題材にしながらも、普遍的な考えや提言を含んでいます。
漠然とした不安を抱えながら生きる今の時代に新たな指南書として提示する一冊です。

3時間くらいで一気に読む。相当面白い!

大阪の貧乏な地区に生まれた竹井さんが、運命に流されて、無我夢中で出版の世界で生きていって、いろいろな人と出会って、すばらしい本が出版されていく様子。
出版業界の取次とか書店のあーだこーだとか、編集という仕事とは何ぞや、とか、そんなことが大阪弁で時に熱く、時に淡々と記されているのね。

私が出版に本格的に興味を持ち出したタイミングと、竹井さんの出版物がシンクロしているのも絶妙dせいた。
唯一持っている画集は、奈良美智の「Slash with a Knife」だったなぁ、とか
川内倫子の写真集は、本当に素敵だなぁとか。
学生時代に取材にやられたホンマタカシに泣かされたよなぁ、とか。
思い出がぐるぐると。

出版を志した一番はじめの気持ちがふつふつと湧き上がってくる感じ。
本当に、出版というのは、ヤクザでどうしようも無い仕事ではあるのだけれど、だからこそいとおしいっていうか。
生きている人の息遣いが聞こえるような本を、作ることができるのは、こういう人の、こういう背景があるのか、と畏敬の念を込めて読みつつ、しかし私は私の仕事の仕方をしようと思わされた、ええ、本当に。

産まれてはじめて、読者カードを書こうと思うくらいに素敵な本だった。
出版を志す学生さんなどに、是非呼んでいただきたい本です。